覚えておかなければいけない内容証明と時効の関係

時効とは何か

内容証明郵便の使いかたとして、時効の停止が挙げられます。

非常に重要な使いかたであり、時効とは何かを知らなければいけません。

債権の回収にかかわる大事なポイントですので、覚えておくといいでしょう。

時効とは

債権に関する部分ですが、消滅時効というものがあります。

消滅時効が成立すると、支払い義務がなくなる制度のことです。

つまり、消滅時効が成立した時点で、債権は回収できません。

債権回収が不可能となれば、大損になるかもしれないのです。

正確には弁済期が到来後に一定期間請求や弁済などを行わなかった場合、法律では更新と呼びますが、支払い義務がなくなります。

時効の期間は、債権の種類や民法改正の時期によって違いますので注意が必要です。

ですが、時効が成立すれば支払い義務はなくなるという点では何も変わりません。

時効の援用とは

実は時効は一定期間過ぎれば成立するわけではありません。

ここに時効の援用ということが出てくるからです。

時効の援用が行われなかった場合、時効は成立しません。

時効の援用とは、時効自体を確定させるための行為のことです。

これは時効であることを相手に対し、明確な意思表示として伝えることを意味しています。

つまり、時効になりましたということが伝えられなければ、時効は成立しないということを民法で定めているのです。

時効の援用に関しては、内容証明郵便を用いるのが一般的です。

法律上で見れば口頭で伝える方法でも有効となりますが、言った言わないになる可能性が出てきます。

つまり、証拠を残すためにも、内容証明郵便を使う方法が一般的です。

消滅時効とは非常に強力な効果を持つため、後から紛争にならないよう、明確な手段を取らなければいけません。

時効の期間

民法改正前の時効は、一般的に10年と定められていました。

テレビのCMなどでも乱れる過払い金請求の時効が10年だったことは、記憶に新しいところです。

商法の規定に基づいた商行為に関する債権は、消滅時効期間が5年とされていました。

細かく見るといろいろと違いがあり、債権の種類によって消滅時効期間はバラバラになっていたのが問題です。

期間の合理性もはっきりしておらず、ただただ分かりにくい状態だったのが民法改正によりはっきりと定められました。

2020年4月に施行された民法改正で、あらゆる消滅時効は廃止されたのです。

そこで消滅時効期間を統一することになりました。

これが民法166条1項です。

権利を行使することができることを知ったときから5年

権利を行使できる時から10年

実質的には5年になると考えていいでしょう。

問題は旧民法と商法に対し、現行民法のどちらのルールが適用されるかです。

これは債権の発生時期によって区別されることとなりました。

つまり、2020年3月31日以前に発生している債券であれば、旧民法と商法のルールが適用されます。

これ以降に発生した債権の場合は、民法改正後のルールになるわけです。

大きな違いとなるため理解しておかなければいけません。

消滅時効の完成を阻止するためには

実は消滅時効は完成を阻止することができます。

旧民法ではこれを時効の停止や中断と呼びました。

中断は、消滅時効期間をリセットして、ゼロからスタートし直すことを意味します。

停止とは進行を一時的にストップさせることです。

内容証明郵便ができることは時効の停止にあたります。

現在の民法における考え方は、停止は完成猶予となりました。

中断は更新へと名称が変更されています。

内容的には変わりません。

ここでポイントになるのが、履行の催促です。

履行の催促とは、債権を支払ってもらえるよう催告することになります。

これが最も手軽な方法となりますが、そこで利用されているのが内容証明郵便なのです。

民法150条1項に、内容証明郵便による履行の催告を行うと、内容証明郵便の到達から6か月間、消滅時効の完成が猶予されるとなっています。

つまり、内容証明郵便を使って催告することができれば消滅時効は6か月間延長されることとなるのです。

非常に大きな効果と言えます。

ただし、完成猶予は一回しか使うことができません。

2回目以降は時効の完成の効力は発生しないため、時効を援用される可能性が出てくるのです。

さらに事項の完成を猶予するためには

内容証明郵便の時効完成猶予期間は6か月と定められているため、それ以上は伸ばすことができません。

しかし、方法が全くないわけではないのです。

それが訴訟を提起することにあります。

訴訟を定期すると、訴訟が終了するまでの期間は消滅時効の完成が猶予されると民法147条1項1号に記載されているからです。

もちろん裁判を起こすこととなるため準備がとても大変で、契約書などの資料も用意して債権が存在することを実証しなければいけません。

かなり複雑な手続きとなることからも、専門家とともに進めていかなければいけないでしょう。

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