内容証明郵便が使われるケースとして、離婚に関する問題もあります。
日本では、協議離婚で成立することがほとんどであり、お互いで話し合いをして、離婚という結論に至ることが多いのが実情です。
その中で書類を送付する内容証明郵便が役立つケースがあります。
役立つ場面はいろいろとありますが、離婚を申し入れるとき、教育費や離婚費用を請求するとき、不倫相手に慰謝料請求するとき、面会交流の請求などになるでしょう。
このケースごとに、内容証明郵便をどのように活用するか解説していきます。
内容証明郵便のポイントになるのは、なぜ離婚を申し入れるのかの理由です。
直接話せば話にならないようなケースってよく活用されています。
特にすでに別居している場合、話し合いの場を持つのが難しい事も少なくありません。
こういったケースでは、すでに夫婦関係が破綻をきたしており、修復不可能な状況に陥っていることがほとんどです。
そのため内容証明郵便を使って離婚の申し入れをするとともに、協議に入ることを伝えます。
返答がなかったときの対応方法も記載しておくことが大切です。
協議離婚では養育費の支払いなどの約束を交わします。
ところが、この約束が履行されないことも出てくるのです。
さまざまな理由があるかもしれませんが、支払ってもらえなければ子供たちの生活にも影響を与えます。
そのため内容証明郵便を使い督促する方法をとるのです。
ポイントとなるのは、協議離婚の際にどのような約束をかわしたかという内容にあります。
この内容を履行してくれないから、いつまでに支払ってくださいという形の内容を送るわけです。
養育費の請求の場合でも大事なことは、期日を過ぎた場合にどのような手段を取るのか、相手に対してはっきりと伝えなければいけません。
さらにわかっているとは思いますが、振込口座なども明確に記載すると良いでしょう。
不倫されている場合になりますが、不倫相手がはっきりとしている場合、不貞行為によって精神的苦痛を伴っていることを理由とし、慰謝料請求できる場合があります。
実際にその不倫相手と対面して話し合うのは、精神的にもつらい場面となるでしょう。
相手がその場に来るという確証もありません。
そこで内容証明郵便を使い、慰謝料請求する方法がとられます。
ポイントは不倫相手が、民法709条に定められる不貞行為にあたるかどうか、はっきりと示さなければいけない点です。
どのような証拠があり、不貞行為に及んだことを知ったのか、判明している事実も含め相手に伝える必要があります。
慰謝料としていくら請求するのか、振り込まれなかった場合にはどのような手段に売って出るかも伝えておくことが大切です。
ただし、慰謝料として法外な金額は請求できません。
常識的範疇での請求となるのを覚えておきましょう。
面会交流は、離婚を協議する上で序順があまり高くありません。
金銭などに比べると、どうしても位置づけが低いためです。
ですが、子どもと離れる側の親にとっては、面会交流の実現は非常に重要な意味を持ちます。
子どもと暮らすことは日常的なことであり、離婚という現実で非日常になってしまうからです。
面会交流の請求では。どうしても感情的な部分が出てきます。
会いたいという気持ちが伝わらない場合も多く、相手側がはっきりと認識されていないケースもでてくるのです。
内容証明郵便では、文書で伝えるため、口頭での話し合いとは違った状況を作れます。
言った言わないにならないためにも、証拠として残せる内容証明郵便は非常に重要なものとなるでしょう。
返事がもらえなかった場合には、調停の申し立ても行うことを記載しておくのが大切です。
内容証明郵便を使うことによって生じるメリットがあるからこそ、離婚に至るさまざまな場面で活用されてきました。
特に重要なのは、請求したことの証拠が残ることです。
後から聞いていないと言った状況を作らずに済み、手紙を受け取った証拠としても残せます。
日本では離婚裁判になるケースはほとんどありませんが、もしもの時に備えて証拠として残せるのは非常に大きな意味があるのです。
そして、何よりも本気で請求していることを伝えられます。
冗談で言っているわけではなく、ことの大きさを相手に伝えるためにも、内容証明郵便が役に立ってくれるのです。
相手に心理的なプレッシャーを与えることも重要になります。
慰謝料請求の場面では、時効の援用を防ぐ効果も忘れてはいけません。
慰謝料請求の場合、離婚が成立した段階から3年で時効がやってきます。
そうなると慰謝料であっても支払う義務がなくなりますが、内容証明郵便を送り実行の完成を猶予させることができるのです。
半年間の猶予ですが、これだけの時間があればさまざまな手が打てるでしょう。