テレビなどのニュースで、業務上横領の罪という話を聞いたことがあるでしょう。
大々的に報道されることも多い犯罪ですが、意外と小さな会社でも被害に遭っているケースがあります。
この業務上横領でも、内容証明郵便を使った対処方法がとられる場合があるのです。
被害を受けた会社は泣き寝入りする必要はありません。
しっかりと調査し対応することが大切ですので覚えておきましょう。
業務上横領という言葉を聞いたことがある人も多いはずですが、正確に理解しているでしょうか。
窃盗と混同している人も少なくありません。
窃盗との違いは、預かっているかどうかにあります。
例えば経理として金銭の管理を任されている場合、このお金を着服し自己の利益のために使ったとしましょう。
これは業務上横領罪にあたります。
半面、金銭の管理を任されていない従業員が、金庫を何らかの方法で開け、お金を使った場合には窃盗罪です。
内容としてもかなりの違いがあるのがわかります。
業務上横領の場合は、会社から信用され管理を任されている立場です。
その立場を利用し金銭を着服した罪は、決して軽いものではありません。
業務上横領罪は、刑法235条になるように10年以下の懲役となります。
預かっているものを自分のものにするのが業務上横領であることから、交通費を不正受給することも該当するのではないかと考えるはずです。
ところがこのケースは、業務上横領にあたりません。
まず金品を預かっていないという状況があります。
交通費は請求して受け取るのが基本です。
本来受け取るべき交通費よりも高額な請求をしたことになるため、このケースは詐欺に該当します。
業務上横領に気がついた場合、さまざまな手段を講じて行かなければいけません。
内容証明郵便を使う方法も検討しますが、その前にさまざまな手順が待っています。
業務上横領が判明した段階で、さまざまな情報を集めて事実関係を整理しなければいけません。
一体何が起こったのか明確にし、金額をはっきりさせます。
その上で本人に対し、事情聴取を行うことが大切です。
本人が業務上横領を認めた場合には、横領した金品を返済してもらわなければいけません。
この時には支払い誓約書を提出させ、返済を確約させます。
もしも本人が認めない場合には、弁明書を提出してもらうことになります。
どのような弁明があるかを明確にし、発言に責任を取らせるためです。
業務上横領をされた金品に関しては、刑事事件として返ってくるわけではありません。
民事責任該当しますが、会社が業務上横領した本人に対し、損害賠償請求しなければいけないからです。
ほとんどのケースで、本人には返済する能力がないでしょう。
分割払いで済ませて欲しいと嘆願されるケースもあります。
しかし、ほとんどのケースでは本人が返済しようとしても滞る危険性の方が高いのが事実です。
返還請求することになりますが、まずは身元保証書を確認することから始めます。
採用し入社する際に身元保証書を提出させている場合、身元保証人に対し請求する方法がとれるからです。
ただし、特別な記載がない場合には、有効期限が3年となります。
定期的に更新する必要があるでしょう。
期限に対する記載があっても、5年が限界です。
業務上横領した本人と、身元保証人の財産調査を行わなければいけません
財産がなければ返済することはできないからです。
一般的には所有不動産と生命保険で調査することになるでしょう。
業務上横領と言うと、すぐにでも訴訟を起こすものと思われるかもしれません。
実際には金品が返還されれば、それ以上の問題にしたくない企業が多いのも事実です。
業務上横領罪で問いたくても、訴訟を起こせば年単位で時間がかかることは珍しくありません。
その間に会社の名誉を傷つく可能性が高まります。
そこで返還請求を進めることが大切です。
事件として大げさな状態にしないで済むとともに、確実に返済してくれれば済む問題も多々出てきます。
身元保証人も含め面談ができるように、内容証明郵便で働きかけることが必要です。
もしも、応じない場合には、訴訟の時の大事な証拠にもなります。
身元保証人に対しても、強いプレッシャーをかけることができるでしょう。
このままでは訴訟になると思えば、対応策を考えていくからです。
訴訟を起こすことは、メリットが大きいわけでもありません。
長期にわたる争いは、無駄に消耗することも出てきます。
実際に応用された金に対する返済請求は、本人が自己破産しても続けられるのが特徴です。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権となるためで、破産しても免除はされません。
ですので、内容証明郵便を使いしっかりと請求することが必要となるのです。