内容証明郵便の使い方:債権回収

債権回収の方法としての内容証明郵便の活用

未回収の債権を回収するのは、簡単なことではありません。

相手が支払ってくれない可能性が高く、法的手段を取らなければならないケースも出てきます。

ですが、訴訟となれば、弁護士費用などもかさむのは事実です。

更に膨大な時間を必要とするため、費用対効果を考え諦めざるを得ないことも出てきます。

そこで、債権回収の第一段階として、内容証明郵便を送付する方法が使われてきました。

着手しやすい方法であり、債権者の意思を効果的に示せるため、非常に都合が良いからです。

ですが、債務に対する法的拘束力は存在しないため、使いかたも考えなければいけません。

何でもかんでも、内容証明郵便がいいとは限らないのです。

内容証明郵便を債権回収に使う効果

法的拘束力のない内容証明郵便ですが、使いかた次第でさまざまな効果をあげられます。

この効果を最大限発揮させるためにも、どのようなことが起こるかを理解しておく必要があるでしょう。

精神的プレッシャー

内容証明郵便の封筒の外側には、内容証明書在中と記載されます。

つまり、受け取った側は、これまで見たことがない書類が中に入っていると感じ取れるのです。

債務者としては、これは本気で対応してきたと意思を感じ取れる瞬間といえます。

実際に費用もかかりますし、手間もかけなければいけません。

弁護士や行政書士に依頼するケースでは、さらに大きな費用が発生します。

これが債務者に対する精神的なプレッシャーにも通じるため、非常に有効な手段となるのです。

裁判になった時の証拠

内容証明郵便では、催促を行った事が記録に残せます。

証拠としても採用されるものであり、債権者は手順を踏んで請求したことが証拠として残るのです。

証拠だけでなく心象的な面でも、違いが出てくるでしょう。

手順というのは守るべきものであって、証明された時には強い効力を発揮するからです。

日付を公的な形で証明できる

内容証明郵便は、郵便局が行っているサービスです。

どのような書面を送付したのか証明できるとともに、相手に通達した日付を公的な形として証明できます。

未回収債権の場合、時効を援用される可能性が問題点です。

消滅時効が訪れれば、債券は二度と取り戻せません。

ですが、債務者に対し、時効が訪れる前に請求すれば、時効を中断できます。

半年間という限定ですし一回しかできませんが、非常に有効な手段となるのは間違いありません。

この間にさまざまな準備ができますし、相手に対するプレッシャーもうかけ続けることが可能です。

時間はとても大切ですので、内容証明を使った時効の中断は意識して行う必要があるでしょう。

遅延損害金の請求に使う

内容証明郵便では日付を確定できるわけですが、これは遅延損害金を請求するときにも重要なポイントになります。

どれぐらい請求してから遅れているのかがわかりますし、合法的に遅延損害金という形で請求できるのです。

遅延損害金は年率6%という高い利率で算出します。

これだけの金額になると、かなりの違いが出てくるでしょう。

ただし、意図的に遅延している場合でなければ、あまり活用できません。

遅延している状況とは、支払えないことがほとんどだからです。

債務不履行にする方法もある

債権して残っていても、弁済期日が定められていないことがあります。

つまり、いつ返さなければいけないのか決められていないため、債務不履行とならない状態です。

そこで、内容証明郵便を使って、返済期日の設定ができます。

この場合は催告書を債務者に通知する方法をとりますが、届いた日が弁済期日となる点に注意しなければいけません。

債務不履行を証明できるようになると、契約解除事由にもつながります。

法人の場合、未回収債権も売上計上しなければいけないのが問題です。

焦げついている債権にもかかわらず、売上計上した分だけ法人税を納めなければならなくなります。

どちらが得するかといった問題もありますが、債務不履行等として契約解除できることはメリットになるのです。

未回収債権でも内容証明郵便を使わないほうがいい場合がある

内容証明郵便とは、どんな場面でも使えばいいわけではありません。

あまりに精神的な効果が強いことから、使い方を間違えると非常に大きな問題を生み出す場合があるからです。

例えば、今後も人間関係を重視し、付き合いを継続したい人だったとしましょう。

その人に対して内容証明郵便を送れば、受け取った瞬間に何が起きたのだと思うのは間違いありません。

自分に対して法的手段に訴えるつもりかと思えば、これ以降の人間関係が好転することは難しいのは火を見るより明らかです。

この場合には内容証明郵便などは使わず、直に話をする方が有効であるといえます。

腹を割って話すではありませんが、間接的なプレッシャーをかけることは、いつでもメリットがあるわけではないのです。

LINELINE