内容証明郵便の使い方:クーリング・オフ

申し込んだ契約を解除できるクーリング・オフ

訪問販売いや電話勧誘などで商品やサービスを契約した場合、相手の勢いに乗せられてしまうようなケースがあります。

そこで冷静に考え直す時間が必要となるわけです。

この期間の中で、契約を解除することができる制度が、クーリング・オフになります。

契約とは、一度成立すれば、双方を拘束する強い約束です。

クーリング・オフは、この契約の例外的措置であり、一定期間内であれば無条件に契約解除できます。

内容証明郵便でもクーリング・オフを請求できるため、条件も含めて覚えておくといいでしょう。

クーリング・オフはなぜできるのか

クーリング・オフは、無条件で契約解除できるという、非常に強力な効力を持っています。

なぜクーリング・オフができるかといえば、商品やサービスを提供する事業者と消費者を比較すると情報に格差がある状態です。

突然勧誘に来られても、冷静な判断ができないで契約させられる可能性があるでしょう。

ですが、事業者の方はさまざまな情報を理解した上で、さほど知識もなく、現状を理解できていない消費者をターゲットにできるのです。

これはかなり不公平な状態であることは間違いありません。

例えば、玄関を叩いてあなたのうちの壁は塗装の寿命が切れかかっていますと伝えたとします。

そのままにしておくと、家が壊れてしまうのではないかと勘違いもするのです。

そうなると、再塗装しなければいけないのではないかと思うでしょう。

しかし、現実的にはそこまで簡単に寿命はつきません。

知識がないために、必要のない工事に大金をかけなければいけないことも出てくるのです。

この情報の格差が、問題を生みます。

そのため、無力に近い消費者を守るために、クーリング・オフという制度が作られました。

クーリング・オフは無条件ではない

クーリング・オフの期間中であれば、無条件に契約解除ができます。

ですが、どんなことでもクーリング・オフできるわけではありません。

それでは、あまりに販売者が不利になるからです。

まず前提条件として、不意打ちのような販売でなければクーリング・オフはできません。

例えば普通に店に買い物に行き購入したものは、どんな内容のものかを理解し、自分の意思で購入しています。

広告を見て、自ら電話やインターネットで申し込んだ通信販売も、クーリング・オフの対象外です。

このように、どんなものでも契約解除できるわけではありません。

先ほどの外壁塗装の話でいえば、訪問販売でやってきた営業マンと契約を結んだ場合、クーリング・オフの対象となります。

ですが、リフォーム会社に赴き、自らの判断で外壁塗装を契約した場合は、クーリング・オフの対象とはなりません。

クーリング・オフと期間の関係

クーリング・オフは一定期間の中で申し込まなければ契約解除できません。

定められた期間内に、相手側に対して通知を出す必要があるのです。

期間内で発信していれば有効となりますが、証明できる方法をとる必要が出てくるでしょう。

内容証明郵便が活用されるのは、発信した日が公的に判別できるからです。

一般的なクーリング・オフの期間は、訪問販売、電話勧誘販売、訪問購入、特定継続的役務提供は8日間となっています。

連鎖販売取引一般的にいうマルチ商法や内職やモニター商法と呼ばれる業務提供誘引販売では、 20日間と設定されるようになりました。

クーリング・オフできた場合、契約は解除されるのではなく、なかったこととされるのが特徴です。

支払った代金は全て返金対象となりますし、違約金も発生しません。

送料は販売会社の負担で引き取ってもらうことも可能です。

工事が始まっていたケースなどでは、原状回復も請求できます。

クーリング・オフは必ず書面で

クーリング・オフは、口頭でもできます。

ですが、内容証明郵便を活用してきたのは、書面で通知できるからです。

書面で通知するということは、証拠を残せます。

特に内容証明郵便の場合、郵便局で書面のコピーをとって保管してあるため、証拠として活用できるのです。

後日、トラブルにならないようにするためにも、このコピーが非常に役立ってくれます。

クレジット契約を結んでいる場合には、販売店や信販会社へも同時に書面で通知するのが大切です。

現金の場合には、販売会社のみで構いません。

クーリング・オフの効力は、発送した時点で発揮します。

業者が通知を受け取った時点ではないことが、とても重要です。

だからこそ、内容証明郵便を使うことで、クーリング・オフの期間中に間違いなく発送したことが証明できます。

クーリング・オフの書式

クーリング・オフの書式は難しいものではありません。

タイトルは通知書とし、相手側の会社の名前、解除する契約、契約日、商品名、契約金額、発送した日付を明記し、最後に自分の住所氏名を書き入れば正式な内容となります。

書面作成が難しいと感じたときには、行政書士に依頼して作成すると良いでしょう。

特に高額な契約の場合、悪質な例も出てきます。

知識がないと思って、クーリング・オフを拒否してくるようなケースもあるのは事実です。

そういった被害に遭わないためにも、専門的な知識を持つ行政書士などと手を組み、クーリング・オフすることも必要になります。

クーリング・オフと似たような制度もある

クーリング・オフは、定められた取引に限定されています。

ですが、ほかの契約にも似たような制度があるからです。

例えば、個別クレジット契約は、訪問販売や電話勧誘販売などに適応できる方法で、クーリング・オフと同じような期間が設定されています。

生命保険や損害保険契約も、契約期間が1年を超えるものであれば、8日間の中であれば契約解除可能です。

このようにさまざまな方法がありますので、困ったときには行政書士に相談してみるといいでしょう。

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