リーリエ行政書士事務所では、企業や個人事業主の方から「元従業員が社内情報を無断で持ち出した」「取引先に顧客リストを流用された」など、情報漏洩に関するご相談を多く受けています。特に退職時や契約終了時に、社外秘資料や顧客情報が外部へ持ち出されるケースは深刻であり、事業上の信用にも大きな影響を及ぼしかねません。
こうした事態に対し、法的措置を取る前段階として、「まずは正式にやめるよう警告したい」「証拠として通知を残しておきたい」というケースでは、内容証明郵便による警告文の送付が有効な手段となります。
この記事では、情報持ち出しに対する内容証明の活用法と、その文書に記載すべき要点、さらに専門家に相談すべき状況について解説します。
この記事でわかること
情報持ち出しが契約違反・不法行為となる根拠
内容証明郵便で何を通知すべきか
実際の文面に盛り込む要素
再発防止と損害回避のための対策
従業員や業務委託先が業務を通じて得た顧客情報・価格情報・業務マニュアル・技術資料などは、一般に**「営業秘密」**とされ、民法・不正競争防止法などにより保護されます。また、就業規則や契約書に「守秘義務」「退職後の情報使用禁止」などが定められていれば、これに違反した場合は契約違反として損害賠償の請求対象にもなり得ます。
顧客リストを私的にコピーして他社で利用
業務マニュアルやノウハウ資料を退職時にUSBで保存
クラウドにアップロードし私用アカウントに転送
秘密保持契約を破って競合企業へ情報提供
こうした行為を確認した場合、まずは事実確認を行った上で、相手に対し文書での「警告」または「使用差止要求」を行うことが、次の法的対応の準備にもなります。
内容証明郵便は、いつ・誰が・どのような内容で文書を送ったかを郵便局が証明する制度です。メールや口頭での警告と異なり、相手方に法的リスクを明確に認識させ、後日の証拠として使用できる点が最大の特徴です。
情報を無断で使用・流用されていることを把握した場合、いきなり訴訟を起こすのではなく、まずは「情報の使用停止」「第三者への提供禁止」「削除要求」などを内容証明で通知することが推奨されます。
文面によっては、相手が「法的リスクに気づいて行動を自制する」ことが期待できます。逆に、文書による正式な抗議がない場合、相手は「問題にならない」と考えて情報の使用を続けてしまう可能性があります。
相手方の氏名・住所と差出人情報
いつ・どのような経緯で情報が持ち出されたか
どの情報が対象か(例:顧客リスト、マニュアル等)
該当行為がどの契約・規定に違反するかの指摘
今後求める対応(例:削除・返却・第三者への提供禁止)
指定期限と連絡先
法的措置を検討する可能性への言及(必要に応じて)
令和〇年〇月〇日付で貴殿が退職した後、当社が保有する顧客名簿等の営業情報が、当社に無断で保管・使用されていることが判明いたしました。
これらの情報は、貴殿が就業中に知り得たものであり、当社の業務上の秘密に該当することは明らかです。就業規則第〇条および秘密保持契約の条項に基づき、貴殿にはこれを第三者に提供したり、私的に利用することを禁止する義務があります。
つきましては、当該情報の一切の削除および今後の利用停止、第三者への開示の禁止を、令和〇年〇月〇日までに文書にてご回答いただくよう要求いたします。
情報持ち出しのリスクを防ぐには、就業時や契約締結時に明確な守秘義務条項を設けることが欠かせません。「何を機密情報と定めるか」「退職後も義務が継続するか」「違反時の対応」など、文書で定めておくことで、違反行為が発覚した際の交渉や訴訟にも対応しやすくなります。
情報が既に外部に流出している可能性がある
損害が生じたが請求方法がわからない
文書を出したいが適切な表現が不明
このような場合は、行政書士や弁護士に相談し、内容証明文書の作成や証拠の整理、次の対応への準備を進めることをおすすめします。
情報持ち出しは、企業や個人事業主にとって深刻な損害をもたらすリスクがあります。しかし、法的な権利を正しく主張するためには、まず自らの立場を明確に示す「通知」が第一歩となります。
内容証明郵便は、その意思を公式に伝えるとともに、記録として残す強力な手段です。相手の行為を止めたい、証拠を残したい、将来のトラブルを避けたいと考える場合は、早めの対応が何よりも重要です。
リーリエ行政書士事務所では、内容証明文書の作成、情報持ち出しに関する契約書の整備、トラブル発生時の対応アドバイスなどを行っています。東京都江東区でのご相談をはじめ、オンライン対応も可能です。お困りの際はぜひご相談ください。
詳しくは こちらのサイト をご覧ください。