マッチングアプリで既婚者に騙された時の対処法と慰謝料請求の進め方

はじめに

最近はスマートフォンひとつで理想の相手を探せるマッチングアプリが非常に身近なものになりました。しかし、手軽に利用できる反面、独身だと偽って登録している既婚者とのトラブルに巻き込まれる方が増えています。真剣に将来を考えてお付き合いをしていた相手が、実は家庭を持っている既婚者だったと知った時の衝撃は、言葉にできないほど大きいものです。今回は、マッチングアプリで既婚者に騙されてしまった場合に、どのような法的手段をとることができるのか、行政書士の視点から解説します。

この記事でわかること

この記事では、相手の嘘が発覚した際にどのような法的根拠で慰謝料を請求できるのか、またそのために不可欠な証拠の集め方や、行政書士がサポートできる具体的な書面作成の手続きについて理解を深めていただけます。

トラブルの具体的な事例

まずは、実際にどのようなトラブルが起きているのか、一つの架空の事例を見てみましょう。

会社員の女性であるAさんは、結婚を前提とした出会いを探してマッチングアプリに登録しました。そこで知り合ったBさんは、プロフィール欄に独身と記載しており、初めてのデートでも過去の恋愛経験や理想の家庭像について誠実に話していました。二人はすぐに意欲的な交際を始め、週末にはBさんの借りているマンションで共に過ごすことも増えました。しかし、交際開始から半年ほど経ったある日、Bさんのマンションのポストに届いた郵便物の宛名が別の女性の名前になっていることにAさんは気づきます。不審に思ったAさんが調査を依頼したところ、Bさんには別の場所に本宅があり、妻と幼い子供がいる既婚者であることが判明しました。Aさんは精神的に深い傷を負い、Bさんに対して法的な責任を追及することを決意しました。

専門用語の解説

このようなケースを法律的に整理する上で、理解しておくべき専門用語が二つあります。

一つ目は貞操権侵害です。これは、自分の意思で誰と性的関係を持つかを決める権利、すなわち性的自由を侵害されることを指します。相手が既婚者であることを隠して独身だと偽り、それによって交際関係を結んだ場合、この貞操権を侵害する不法行為にあたる可能性があります。
二つ目は内容証明郵便です。これは、誰が、誰に対して、いつ、どのような内容の手紙を送ったのかを郵便局が公的に証明してくれるサービスです。相手に対して毅然とした態度でこちらの主張を伝え、法的な請求を行った証拠を残すために極めて有効な手段です。

マッチングアプリでの既婚者トラブルにおける法的根拠

相手が既婚者であった場合の慰謝料請求には、いくつかの法的な考え方があります。

相手が既婚であることを隠していた場合の法的根拠

相手が独身であると積極的に嘘をつき、あなたを騙して交際していた場合、それはあなたの貞操権を侵害する不法行為となります。この場合、あなたは被害者として、騙した相手本人に対して精神的苦痛に対する賠償を求めることができます。アプリのプロフィールに独身と書いていたこと自体が、法的な責任を問うための重要な要素になります。

既婚者であることを知ってしまった後の法的リスク

もし、相手が既婚者であると途中で気づきながらも交際を継続してしまった場合は、注意が必要です。その場合は不貞行為という共同不法行為に該当する可能性があり、逆に相手の配偶者からあなたが慰謝料を請求されるリスクが発生します。そのため、騙されていたことを証明し、自分の立場を法的に守ることが非常に重要です。

慰謝料請求を成功させるために必要な証拠の集め方

慰謝料の請求を検討する際、最も重要となるのが客観的な証拠です。感情的な訴えだけでは、相手に逃げられてしまう恐れがあるからです。

相手が独身だと偽っていたことを示す証拠

まず、相手が意図的にあなたを騙していたことを証明しなければなりません。マッチングアプリのプロフィール画面の保存や、独身であることを前提としたやり取りのスクリーンショットがこれに該当します。将来の結婚を匂わせる言葉や、独身でなければつじつまが合わないような発言の記録をしっかり残しておきましょう。

交際の実態を証明する客観的な資料

次に、実際に深い交際関係があったことを示す証拠も必要です。二人で写っている写真や、親密なやり取りが続く通話履歴、ホテルや旅行先での領収書などが有力な材料となります。これらの証拠を整理することで、相手の言い逃れを防ぎ、有利に手続きを進めることが可能になります。

内容証明郵便を活用した解決手段と行政書士の役割

証拠が揃った段階で、具体的な請求手続きに移ります。ここで大きな役割を果たすのが、行政書士による内容証明郵便の作成です。

内容証明郵便を送付するメリットと心理的効果

個人で相手に直接連絡をしても、着信拒否をされたり、まともに取り合ってもらえなかったりすることは珍しくありません。しかし、行政書士の名前が入った内容証明郵便が届くことで、こちらの本気度が伝わり、相手に心理的なプレッシャーを与えることができます。公的な記録が残る書面で通知することは、相手に誠実な対応を促すための強力な手段となります。

行政書士がサポートできる書面作成の範囲

行政書士は、あなたの主張を法的に整理し、説得力のある通知書を作成します。不法行為の事実関係や、それによる精神的苦痛、請求する慰謝料の額、支払期限などを論理的に構成します。ただし、行政書士は相手との直接的な交渉を代行したり、裁判の代理人になったりすることはできません。もし書面による請求の後に複雑な交渉が必要になった場合は、弁護士への相談が必要になります。

今回の内容のまとめと今後のステップ

マッチングアプリで不誠実な相手に騙されてしまったことは、決してあなたの責任ではありません。一人で抱え込まずに、適切な法的手続きを検討することが大切です。

今回の内容を要約すると、既婚者に独身と偽られた交際は貞操権侵害にあたる可能性があり、慰謝料請求の対象となります。そのために、まずはアプリの履歴や写真などの証拠を保全することが不可欠です。そして、行政書士による内容証明郵便を活用して、法的に正しい手順で自分の権利を主張することが解決への近道となります。

法的な手続きを進めることは、自分自身の尊厳を取り戻し、新しい生活へ向かうための大切な区切りになります。まずは現状を整理するために、専門家のアドバイスを受けてみるのはいかがでしょうか。

LINELINE