今や当たり前となったインターネットは、驚くほどの速度で普及してきました。
特に新型コロナウイルスの問題以降は、テレワークなども増え、さらなる普及へと加速したのです。
便利になった一方で、普及が加速したことによる問題も出てきました。
インターネット上で起こる誹謗中傷は、社会的問題としても注目を集めています。
この問題に対し、内容証明郵便を使って慰謝料の請求を送るケースがあるのです。
逆に反論するために、内容証明郵便を使う場合もあります。
現在の問題としてとても、重要な意味を持つ行為になるでしょう。
インターネット上の大きな特徴として匿名性を保てるということが挙げられます。
匿名性と自分の本名は表に出さず、好きな名前を付け、別の人格を作れることです。
匿名性を保つ理由はいくつもあります。
セキュリティ上の問題で匿名性を利用することもあるため、一概にこれが悪とはいえません。
ただし、悪用する人間も多いのは事実です。
匿名性があることを背景にし、誹謗中傷を繰り返す人が多くなりました。
匿名性の大きな問題として、自らの発言に対し責任を取らない事実があります。
例えば特定の商品の口コミを、使ってもいないのに悪く言うことも可能です。
悪く思っていなくても、誇張して伝えることもできます。
このような背景からも、インターネット上で寄せられる情報の大半は真実ではありません。
9割は嘘か誇張された情報であり、真実は1割しかないとまで言われることがあるのです。
誹謗中傷もこのような状況から派生した問題といってもいいでしょう。
インターネット上で誹謗中傷を受けた場合には、さまざまな対応方法があります。
以前はさほど重要視されることもなく、対応方法も限定的なものしかありませんでした。
現在は社会問題として取り上げられるケースも増えてきたことから、プロバイダなどの責任を問う法律もできています。
そのためさまざまな対応方法が生まれてきたのです。
現在では、掲示板などのサイトを運営するのに対し、プロバイダ責任制限法という法律が課せられるようになりました。
正式名称は、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発言者情報の開示に関する法律」です。
名称のように責任を制限する内容の法律であり、誹謗中傷や名誉毀損などの損害賠償責任を負うものではありません。
損害賠償とは不法行為責任であり、プロバイダ責任制限法は、その責任を制限しています。
例えば運営者や管理者が書き込みの削除ができるのであれば、他人の権利が侵害されているような内容に関し、書き込みを削除しなくても損害賠償の責任負わないとしているのです。
プロバイダに対し、誹謗中傷に関する書き込みを削除してもらうため、内容証明郵便を送ることがポイントになります。
この場合問題となる情報が流通したことによって、その本人以外の権利が侵害されていることを明確に伝えなければいけません。
通常の郵便でも依頼は可能ですが、証拠を残すためにも内容証明郵便を使うことが大切です。
もしも、プロバイダが対応しない場合、仮処分等の法的手続きを検討することも、内容証明郵便で伝えるべきでしょう。
そもそも誹謗中傷等の問題は、掲示板などに書き込んだ本人がいます。
プロバイダが書き込みをしているのではなく、誹謗中傷を書き込んだ加害者の存在が重要です。
掲示板などでは匿名性を生かし書き込むため、本人を特定することはほぼ不可能と言っていいでしょう。
ですが、プロバイダ責任制限法4条1項で、「加害者への損害賠償請求行使のために必要である場合などには、管理者に対し、情報の発信者の氏名住所等の発信者特定できる情報を開示請求することができる」としています。
つまり、権利が侵害されたことを証明できれば、プロバイダに対し、情報開示請求が可能です。
それでも管理者であるプロバイダが、書き込んだ相手の個人情報を持っているとは限りません。
登録情報の真正も確認できないからです。
この辺りは性善説を重視する問題もあるでしょう。
それでもプロバイダにはIPアドレスや送信された年月日、時刻の情報があります。
本人を特定する情報法の手がかりとなるため、ここから本人が判明できるケースも増えてきました。
本人がある程度特定できれば、内容証明郵便を使って、損害賠償の請求や誹謗中傷の書き込みに関する停止要求ができるのです。
もしも、対応しなかった場合には訴訟に打って出ることを明記しておくことで、相手に対して強いプレッシャーをかけられるでしょう。
匿名性があるインターネットですので、人違いであるケースも少なくありません。
誹謗中傷などはしていないとするのであれば、回答書として内容証明郵便で送付することができます。
例えばアクセスしたことがない事実を述べたり、言及したことがないという事実をはっきりとさせたりすれば、反論できる可能性が出てくるでしょう。
もっとグレーゾーンとして投稿はしたけれど誹謗中傷する気はなかった、名誉毀損にはあたらないと反論することも可能です。
この場合もどの部分が、名誉毀損に当たっていないのか、論点をはっきりさせる必要があるでしょう。
法律的知識も必要となることから、専門家とともに内容証明郵便を作成する必要が出てきます。