【2026年夏更新】元彼が荷物を返してくれない|警察は動く?返還請求の内容証明と文例2パターン

最終更新日:2026年7月25日

監修:行政書士(登録番号:第22080418号)/契約書・通知書など法的書面の作成を専門とし、内容証明郵便に関する新規相談は年間約1,000件。

別れた相手の家に、自分の荷物が置きっぱなしになっている。同棲を解消したあと、家電も服も書類も相手の部屋に残したままで、連絡しても既読がつかない。思い切って警察に相談したのに、「それは民事なので警察では扱えません」と言われて終わってしまった——この記事にたどり着いた方の多くが、そこで止まっています。

結論から申し上げると、警察が動く場面は限られています。ただし「限られている」ことと「打つ手がない」ことは別です。警察が動きうるケースの見分け方があり、警察が動かない場合でも、所有権に基づいて返還を求めるという民事のルートが残されています。

この記事でわかること

  • 警察が動くケースと動かないケースの、具体的な線引き
  • それでも警察に相談する価値がある場面と、相談時の実務的なコツ
  • 所有権に基づく返還請求の考え方と、請求前に必ず整理しておくべきこと
  • 返還請求の通知書に書くべき要素と、そのまま使える文例(2パターン)

先にお伝えしておきます。書面を送れば必ず返ってくる、という保証はありません。相手が処分してしまっていることもあります。それでも、「いつ・誰が・何を・どういう理由で請求したか」を記録に残しておくことは、その後に取りうるすべての手段の土台になります。返ってくる保証はないが、打てる手は複数ある。この現実的な前提で読み進めてください。

結論:警察が動くケースと動かないケース

最初に、いちばん知りたいところからお答えします。警察が刑事事件として動くかどうかは、「返す・返さないで揉めているだけなのか」「それとも犯罪にあたりうる行為が絡んでいるのか」で分かれます。

警察が動きにくい典型例 犯罪として扱われうる典型例
相手が単に返還を拒んでいる(「返したくない」「もう捨てた気がする」など) 「壊す」「売る」「捨てる」と明言している、または実際に壊された(器物損壊が問題になりうる)
「あれはもらったものだ」と主張しており、所有権の帰属自体に争いがある 同意なく自宅から持ち出された、合鍵で入られた(窃盗・住居侵入が問題になりうる)
連絡が取れず、返還の話し合いが進まない 返還を口実に会うことを求められる、断ると付きまとわれる(ストーカー規制法が問題になりうる)
返還の方法や日程で折り合いがつかない 「返してほしければ金を払え」「言うことを聞け」と要求される(脅迫・強要が問題になりうる)
郵送で返すと言われたまま、いつまでも送られてこない 預けた通帳・カード・身分証などが無断で使用された可能性がある

左側に当てはまる場合、警察の窓口で「民事のご相談になります」と案内される可能性が高いと考えておいてください。これは担当者の対応が悪いわけではなく、警察という機関の役割の問題です。理由は次の章で説明します。

一方、右側に一つでも当てはまるなら、状況は変わります。その場合は、この記事を読み進める前に、まず警察(生活安全課)への相談を検討してください。特に脅迫や付きまといを伴う場合は、書面を送ること自体が相手を刺激するおそれもあり、順序を誤らないことが重要です。

*安全に関わる場合は、こちらを優先してください

交際中に暴力や執拗な連絡があった、別れ話のあとに待ち伏せされている、返還を口実に会うことを迫られている——こうした事情がある場合は、荷物の返還よりも先に、警察相談専用電話「#9110」、お住まいの都道府県警の生活安全課、または配偶者暴力相談支援センター(内閣府「DV相談ナビ」)へご相談ください。安全の確保が最優先です。

なぜ「民事不介入」と言われるのか

窓口で断られると、どうしても「取り合ってもらえなかった」と感じます。ただ、そこには理由があります。仕組みを理解しておくと、次に何をすべきかが見えてきます。

警察は「犯罪の捜査」を担当する機関である

警察の役割の中心は、犯罪の予防と捜査、そして公共の安全と秩序の維持にあります。裏を返せば、私人と私人のあいだの権利関係の争いは、原則として警察が判断する対象ではありません。「この炊飯器の所有者はAさんかBさんか」を決めるのは、警察ではなく最終的には裁判所の仕事だ、という整理になります。

これが、俗に「民事不介入」と呼ばれている考え方です。法律にその言葉が書かれているわけではありませんが、実務上の役割分担として定着しています。

「所有権に争いがある」と、警察は判断を避ける

元交際相手とのトラブルで警察が動きにくい最大の理由が、ここにあります。相手が「あれはもらったものだ」「一緒に買ったものだ」と主張した瞬間、その物が誰のものかは当事者間で争いのある状態になります。

窃盗として扱うには、その物が他人(あなた)の物であることが前提になります。ところが相手が自分の物だと主張しているのであれば、警察としてはその場で真偽を決められません。結果として「まずは当事者間で解決を」という案内になりやすいのです。

ここが重要です

つまり、「自分の物であること」を客観的に示せる材料がどれだけあるかによって、警察の対応も、その後の民事手続の見通しも変わってきます。感情ではなく証拠を集める作業が、遠回りに見えていちばんの近道になります。具体的な集め方は「請求前に整理すべきこと」の章で詳しく説明します。

断られたことは、無駄ではない

相談に行って断られた経験を、失敗だと思う必要はありません。警察に相談した事実は、相談記録として残ります。後日、相手の行為がエスカレートしたときに「以前から相談していた」という経緯があることは、対応の速さに影響しうる要素です。相談した日付と、対応してくれた部署・担当者名は必ずメモに残しておいてください。

それでも警察に相談する価値がある場面

「民事不介入」は絶対のルールではありません。次の3つの場面では、相談する意味が十分にあります。

1. 相手が「壊す」「捨てる」「売る」と示唆している

他人の物を壊したり、使えない状態にしたりする行為は、器物損壊として問題になりうる行為です。すでに壊された場合はもちろん、「明日全部捨てる」「メルカリに出す」といったメッセージが残っている段階でも、相談する価値があります。

このとき決定的に重要なのが、やり取りのスクリーンショットを、日付とアカウント名が写る形で保存しておくことです。相手がメッセージを削除したり、アカウントを消したりする可能性は常にあります。トーク画面全体、相手のプロフィール画面、送信日時が表示された状態——この3点をセットで保存してください。

2. ストーカー規制法・DVが背景にある

「荷物を返すから会おう」という連絡が、実際には接触の口実になっているケースがあります。断ると態度が変わる、返還の話が出るたびに関係の復縁を持ち出される、待ち伏せされる——このような場合、問題はもはや荷物ではありません。

*公的な相談窓口

  • 警察相談専用電話「#9110」/緊急でない相談の全般的な窓口です。
  • 各都道府県警察の生活安全課/ストーカー・付きまといに関する相談窓口です。
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ「#8008」)/交際相手からの暴力についても相談できます。
  • 緊急時は迷わず110番。身の危険を感じたら、他の手段より優先してください。

この場面では、私どもへのご相談よりも先に、上記の公的窓口をご利用ください。荷物の返還はその後で構いません。

3. 無断で持ち出された可能性がある

あなたの部屋から、あなたの承諾なく物が持ち出された場合は、事情がまったく異なります。合鍵を使って入られた、留守中に入られた、といった事情があるなら、窃盗や住居侵入として扱われうる話になります。

このケースで有効なのは、「いつの時点まで、その物が自宅にあったか」を示す資料です。部屋の写真、宅配ボックスの受取記録、購入直後に撮った写真、SNSに投稿した画像の日付など、細かいものでも構いません。

警察に相談するときの実務的なコツ

同じ事情を伝えても、準備の有無で対応は変わります。以下は、実際にご相談を受けるなかで効果があった進め方です。

ポイント 内容
窓口は生活安全課 交番ではなく、警察署の生活安全課が担当窓口になることが多いです。いきなり訪ねるより、代表番号に電話して「生活安全課につないでほしい」と伝えるほうが確実です。
事前に電話予約する 担当者が不在で出直しになるのを防げます。予約時に「元交際相手との間で、私物の返還と◯◯のトラブルがある」と要点を伝えておくと、当日の説明が早く済みます。
時系列メモを持参する A4用紙1枚で構いません。「いつ・何があったか」を箇条書きにしたものがあると、口頭で説明するより格段に伝わります。感情的な記述は入れず、事実だけを並べてください。
物のリストを持参する 品目・色・型番・購入時期・おおよその価格を一覧にします。「荷物を返してくれない」より「型番◯◯のゲーム機を含む12点」のほうが、話が具体的になります。
証拠は印刷して持つ スマホ画面を見せるより、印刷したものを渡せるほうがスムーズです。そのまま置いてこられる形にしておくと、記録に残りやすくなります。

*この準備は、警察相談のためだけのものではありません。ここで作った「時系列メモ」と「物のリスト」は、そのまま返還請求の通知書の中身になります。無駄になることはありません。

所有権に基づく返還請求という考え方

警察が動かない場合、次に検討するのが民事のルートです。難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。

自分の物である以上、返還を求める権利がある

民法は、物を所有する人がその物を自由に使い、収益を得て、処分できることを定めています。そして、自分の所有物を正当な理由なく他人が占有している場合、所有者はその返還を求めることができると考えられています。これが所有権に基づく返還請求(返還請求権)と呼ばれるものです。

元交際相手のケースに当てはめると、こうなります。あなたが自分のお金で買い、自分の物として使っていた物を、別れた後も相手が手元に置いている。相手にそれを持ち続ける正当な理由がないのであれば、あなたは返還を求めうる立場にあります。

争点になるのは、たいてい「贈与だったのか」

実際のご相談で最も多く問題になるのが、ここです。相手が「もらった」と言い出した場合、その物が贈与されたものなのか、単に貸していただけなのかが争点になります。

贈与、つまりプレゼントとして渡したものであれば、原則としてその所有権は相手に移っています。後から気持ちが変わったという理由だけで、返還を求めることは基本的に難しいと考えられます。誕生日に贈ったアクセサリー、記念日に買ってあげた財布などがこれにあたります。

一方、次のようなものは、贈与ではないと主張しうる余地があります。

  • 同棲していた部屋に置いていた自分の私物(衣類、仕事道具、書類、趣味の道具など)
  • 自分の名義・自分の支払いで購入し、共用していた家電(渡した覚えがないもの)
  • 「貸すね」と伝えて渡したもの(そのやり取りが残っていれば有力です)
  • 返却を前提に預けたもの(引っ越しの間だけ保管してもらった荷物など)

*ただし、個々のケースが贈与にあたるかどうかは、渡した経緯やそのときの言動、金額、その後の使われ方など、事情の全体から判断されます。この記事の分類は考え方の目安であり、あなたのケースの結論を断定するものではありません。

内容証明郵便は「請求した事実」を証明する手段

ここで内容証明郵便が出てきます。内容証明郵便は、どのような内容の文書を、いつ、誰から誰へ差し出したかを、日本郵便が証明してくれる制度です。配達証明を付ければ、相手に届いた日付も記録されます。

これによって、次のことが記録に残ります。

  • あなたが返還を求める意思表示を、確かに行ったこと
  • その請求の内容(どの物を、いつまでに、どのように返してほしいか)
  • 相手がそれを受け取った日付(配達証明を付けた場合)
  • 「聞いていない」「知らなかった」という言い分を封じられること

*誤解しやすい点

内容証明郵便には、相手に返還を強制する法的な力はありません。差押えや強制執行ができるわけでもありません。あくまで「請求した事実を証明する」ための手段です。それでも実務上、書面が届いたことで態度が変わる相手は少なくありません。口頭やメッセージでのやり取りと、書留で届く正式な書面とでは、受け取る側の受け止め方がまったく違うためです。

「これは贈与にあたるのか」で迷っていませんか

返還を求められるかどうかは、渡したときの経緯によって判断が分かれます。手元の資料を見ながら整理したほうが早いケースがほとんどです。ご本人名義の通知書の作成支援を専門とする行政書士が、状況をお伺いします。まずはお気軽にご相談ください。

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請求前に整理すべき4つのこと

通知書を書き始める前に、必ず手を動かしてほしい準備があります。ここを飛ばして書面を送ると、相手に「そんな物はない」「もらったものだ」と返されたときに、こちらから重ねる言葉がなくなります。

1. 「自分の物である」ことを示す資料を集める

所有権を主張する側が、それを示す材料を持っているかどうか。これがすべての土台になります。次のものを探してみてください。

資料 探す場所・ポイント
クレジットカード明細 アプリやWeb明細から過去分をダウンロード。自分の支払いで買ったことを示す、最も入手しやすい資料です。
ネット通販の購入履歴 品目・金額・購入日・配送先が一度に揃います。スクリーンショットではなくPDF保存が望ましいです。
レシート・保証書 家電の保証書に自分の名前が記載されていることがあります。取扱説明書の袋も確認してください。
写真・SNS投稿 自宅で使っている様子が写った写真は、撮影日時のデータごと保存を。スマホの写真アプリの日付検索が使えます。
メッセージのやり取り 「これ貸すね」「置かせてもらうね」といった一文が決定的になることがあります。過去のトーク履歴を検索機能で洗ってください。
シリアル番号・型番 メーカーの製品登録、購入時のアカウント紐付けが残っていれば、その物と自分を結びつける有力な材料になります。

2. 贈与か貸与かを、自分の中で正直に区別する

ここは、あえて厳しいことを書きます。プレゼントとして渡したものは、原則として返還を求めることが難しいものです。この点を曖昧にしたまま「全部返せ」という書面を送ると、相手に反論の糸口を与えてしまいます。

おすすめは、返してほしい物を次の3つに仕分けることです。

A 自分の物であることが資料で示せる(=請求の中心に置く)

B 自分の物だが、資料が乏しい(=Aと一緒に請求し、争いになれば主張を補強する)

C プレゼントとして渡した可能性が高い(=今回の請求からは外すことを検討する)

Cを潔く外すことで、書面全体の説得力が上がります。「筋の通った請求をしている」という印象は、相手が応じるかどうかに実際に影響します。

3. 相手方の住所を確認する

内容証明郵便は、宛先に届かなければ意味がありません。ところが、別れた後に相手が転居しているケースは珍しくありません。宛先不明で戻ってきてしまうと、費用も時間も無駄になります。

まずは、あなたの手元にある情報を確認してください。年賀状や郵便物、宅配便の伝票控え、通販の配送先履歴、契約書類の写しなど、交際中に自然に把握していた住所があるはずです。

*住所がどうしても分からない場合の考え方については、別記事で詳しく解説しています。なお、相手の住所を調べる目的での戸籍・住民票の請求には法令上の制限があり、当事務所が住所調査を請け負うことはできません。

4. 返還を求める物のリストを作る

最後に、返してほしい物の一覧を作ります。これが通知書の別紙になります。記憶が新しいうちに、思い出せるものをすべて書き出してください。後から「あれも入れておけばよかった」となっても、二度目の請求は相手の警戒を強めます。

No. 品目 特徴(色・型番等) 購入時期 購入価格
1 ゲーム機本体 白/型番◯◯◯/シリアル末尾1234 2024年11月 約49,000円
2 冬用アウター 紺色/◯◯社製/Mサイズ 2023年12月 約32,000円
3 資格試験のテキスト一式 全5冊/書き込みあり 2025年4月 約18,000円

この粒度まで書けていると、相手は「どれのことか分からない」とは言えなくなります。逆に「服とか色々」という書き方では、返還の範囲がはっきりせず、相手に逃げ道を残すことになります。

返還請求の通知書に書くべき5つの要素

準備が整ったら、通知書の中身に入ります。返還請求の書面には、必ず入れておきたい要素があります。逆に言えば、これらが抜けている書面は、送っても効果が薄くなります。

要素1:当事者の特定

誰から誰への請求なのかを明記します。差出人の氏名・住所、受取人の氏名・住所を正確に書きます。旧姓や通称ではなく、戸籍上の氏名を用いるのが原則です。交際していた事実と、いつ関係が終了したかも簡潔に記載しておくと、書面だけで経緯が伝わります。

要素2:返還を求める物の特定

ここが最も重要です。品目名だけでなく、色・型番・サイズ・購入時期・特徴まで書き込みます。理由は明確で、後になって「そんな物は預かっていない」「別の物のことだと思った」と言われる余地をなくすためです。

点数が多い場合は、本文には「別紙記載の物件」と書き、別紙として一覧表を添付する形式が読みやすくなります。*内容証明郵便では、別紙も含めて文字数・行数の規定内に収める必要があります。点数が多いときは、電子内容証明(e内容証明)の利用も選択肢になります。

要素3:返還の方法を具体的に提案する

見落とされがちですが、返還率を左右するのはこの項目です。「返してください」だけでは、相手は何をすればいいのか分からず、面倒だという理由で放置します。相手が実行しやすい選択肢を、こちらから示してください。

提案する返還方法の例

  • 着払いでの発送/送料をこちら負担にすることで、相手の心理的・金銭的な障壁を下げられます。実務上、最も応じてもらいやすい方法です。
  • 集荷の手配/こちらで宅配業者の集荷を手配し、相手は箱を渡すだけの状態にする方法です。
  • 日時を決めての受渡し/直接会いたくない場合は、玄関先やマンションの管理人経由など、接触を最小限にする方法を指定します。
  • 第三者の立会い/親族や共通の知人に立ち会ってもらう形です。トラブルの再燃を防ぐ意味があります。

*相手と直接会うことに不安がある場合は、対面での受渡しは避けてください。着払い発送を第一の選択肢として提示するのが安全です。

要素4:期限の設定

「本書面到達後2週間以内」といった形で、明確な期限を切ります。期限がない請求は、事実上いつまでも先延ばしにされます。

期間の目安は、荷造りと発送の手間を考えて2週間程度が一般的です。短すぎると「無理だ」と感じさせて反発を招き、長すぎると忘れられます。また、期限を設けておくことで、応じられなかった場合に次の手続へ進む判断の起点が明確になります。

要素5:応じない場合の対応

期限内に返還がない場合、法的な手続を検討する旨を記載します。ただし、ここは抑制的な表現にとどめてください。

*書いてはいけない表現

「刑事告訴する」「警察に突き出す」「職場に連絡する」「SNSで公表する」——これらの表現は、内容によっては脅迫や強要が問題になりうるほか、書面自体の信用性を落とします。相手の代理人がついた場合、この一文が逆にこちらの立場を悪くすることもあります。

推奨される書き方:「期限までにご返還いただけない場合には、法的手続を含め、しかるべき対応を検討せざるを得ませんので、あらかじめご承知おきください。」

通知書の文面づくりでお困りではありませんか

返還請求の通知書は、書き方ひとつで相手の反応が変わります。物の特定が甘い、返還方法の提案がない、感情的な表現が混ざっている——実際に拝見すると、このいずれかで止まっている書面がほとんどです。当事務所では、ご本人名義の通知書の作成支援を承っております。年間約1,000件の新規相談実績をもとに、あなたのケースに合った文面をご提案します。

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*行政書士の業務は、ご本人名義の書面の作成支援です。相手方との交渉の代理は行っておりません。

文例1:同棲解消後の私物返還を求めるケース

最も一般的なパターンの文例です。【 】の部分がご自身で書き換える箇所です。まだ相手が明確に拒否していない段階を想定しています。

通知書

【令和◯年◯月◯日】

〒【000-0000】

【東京都◯◯区◯◯ ◯丁目◯番◯号 ◯◯マンション◯◯号室】

【相手方氏名】 殿

〒【000-0000】

【東京都◯◯区◯◯ ◯丁目◯番◯号】

【差出人氏名】 印

前略 突然の書面にて失礼いたします。

私と貴殿は、【令和◯年◯月頃】から交際し、【令和◯年◯月頃】より【東京都◯◯区◯◯所在の住居】において同居しておりましたが、【令和◯年◯月◯日】をもって同居を解消いたしました。

同居解消の際、私は私の所有する物品の一部を上記住居に残したまま退去いたしました。当該物品は、いずれも私が自ら購入し、私の所有に属するものであり、貴殿に贈与したものではありません。

つきましては、別紙物件目録記載の各物品につき、本書面到達後【2週間以内】に、私に対しご返還くださいますよう請求いたします。

ご返還の方法につきましては、貴殿のご負担を軽減するため、以下のいずれかをご選択いただければ幸いです。

一、着払いにて下記住所宛にご発送いただく方法(送料は私が負担いたします)

二、私の側で宅配業者の集荷を手配し、貴殿には梱包物のお引渡しのみをお願いする方法

三、日時場所を別途取り決めのうえ、直接お引渡しいただく方法

なお、万一、別紙物件目録記載の物品の一部がすでに処分されている場合には、その旨を上記期限までにご連絡ください。

本件につきましては、事を荒立てることを望んでおりません。上記期限までにご返還いただけましたら、私から貴殿へこれ以上の連絡をすることはございません。

もっとも、上記期限までにご返還いただけない場合には、法的手続を含め、しかるべき対応を検討せざるを得ませんので、あらかじめご承知おきくださいますようお願い申し上げます。

草々

別紙 物件目録

一、【ゲーム機本体 白色 型番◯◯◯ 1台】

二、【冬用アウター 紺色 ◯◯社製 Mサイズ 1点】

三、【資格試験用テキスト 全5冊】

四、【◯◯◯◯】

この文例のポイント(3点)

1 感情に触れない。別れた理由、相手への不満、つらかった経緯は一切書きません。書面の目的は物を返してもらうことであり、気持ちを伝えることではありません。感情的な記述があると、相手は内容ではなく態度に反応します。

2 返還方法を3つ提案する。選択肢を示すと、人は「やるかやらないか」ではなく「どれにするか」を考え始めます。送料をこちら負担にしている点も、応じやすさに直結します。

3 相手に出口を用意する。「返還いただければこれ以上連絡しない」という一文は、相手にとっての着地点になります。追い詰めるだけの書面より、応じる理由がある書面のほうが結果につながります。

文例2:相手が返還を拒否している場合

すでに一度請求したものの、「あれはもらったものだ」と拒否されている段階の文例です。これまでの経緯を書面に残すことと、贈与ではないと主張する根拠を示すことが目的になります。

通知書

【令和◯年◯月◯日】

【相手方氏名】 殿

【差出人氏名】 印

前略 私は、【令和◯年◯月◯日】、貴殿に対し、別紙物件目録記載の各物品のご返還を求めましたが、貴殿からは【令和◯年◯月◯日】、「いずれも贈与されたものである」旨のご回答をいただきました。

しかしながら、別紙物件目録記載の各物品は、いずれも私が自己の費用で購入し、私の所有に属するものです。この点につきましては、【購入時のクレジットカード利用明細】および【購入サイトの注文履歴】により明らかであり、私はこれらの資料を保管しております。

また、私が貴殿に対し、これらの物品を贈与する旨の意思表示をした事実はありません。かえって、【令和◯年◯月◯日のメッセージ】において、私が「【貸すね】」と述べていることからも、贈与ではなく一時的に貴殿の手元に置かれていたにすぎないことが明らかであると考えます。

つきましては、改めて、別紙物件目録記載の各物品につき、本書面到達後【2週間以内】に、私に対しご返還くださいますよう請求いたします。ご返還の方法は、着払いによるご発送で差し支えありません。送料は私が負担いたします。

なお、貴殿において、いずれかの物品が贈与にあたるとお考えの場合には、その根拠となる事情を、上記期限までに書面にてご説明ください。

上記期限までにご返還またはご回答をいただけない場合には、民事調停の申立てを含む法的手続を検討いたします。

草々

この文例のポイント(3点)

1 経緯を日付入りで書く。「いつ請求し、いつどう拒否されたか」を書面に固定します。後に調停や訴訟に進んだ場合、この経緯そのものが資料になります。

2 資料を持っていることを示す。資料そのものを同封する必要はありません。「保管しております」と書くだけで、相手の「言った・言わない」の戦法は使いにくくなります。

3 相手に説明責任を投げ返す。「贈与だと考えるなら、その根拠を書面で説明してください」と求めることで、相手は具体的な主張をせざるを得なくなります。曖昧な拒否のまま逃げ切ることを防ぐ書き方です。

専門家に通知書の作成を依頼するメリット

文例を載せておいて言うのも妙ですが、実際にご相談を受けていると、ご自身で書かれた書面が「あと一歩」で止まっているケースが非常に多いのが実感です。理由は文章力ではありません。何を書くべきかの判断が、事案ごとに違うからです。

メリット1:書面の体裁そのものが、相手の対応を変える

同じ内容でも、書式の整った通知書と、感情の混じった手紙とでは、受け取った側の反応がまったく違います。「本気で対応する準備がある」と伝わることが、返還に応じる動機になります。実務上、書面が届いた段階で連絡が来るケースは相当数あります。

メリット2:相手に反論の余地を与える表現を避けられる

ご自身で書かれた書面でよく見かけるのが、次のような記述です。

  • 物の特定が「服とか、あと色々」で止まっている(=範囲が曖昧で、返還のしようがない)
  • プレゼントとして渡した物まで請求に含めている(=一点でも崩されると全体の信用が落ちる)
  • 「訴えます」「警察に言います」と書いてしまっている(=表現によっては問題になりうる)
  • 別れた経緯への不満が長々と書かれている(=相手が内容ではなく感情に反応する)

これらは、書く前に整理すれば防げるものばかりです。送ってしまってからでは修正が効きません。

メリット3:手元の資料から、主張の組み立てを検討できる

「クレジットカードの明細はあるが、贈与だと言われている」「メッセージは残っているが、決定的な一文がない」——こうした状況で、どの資料をどう使えば主張が通りやすいかは、事案ごとに異なります。ご相談の場では、手元にある資料を拝見しながら、書面に書ける主張と、書かないほうがよい主張を切り分けていきます。

メリット4:形式面の不備で差し戻されない

内容証明郵便には、1行あたりの文字数、1枚あたりの行数、使用できる文字、同じものを3通用意するなど、細かな形式ルールがあります。郵便局の窓口で不備を指摘されて出直す、というのは実際によくある話です。書面の作成段階でこの形式に合わせておけば、その手間がなくなります。

メリット5:この先どこまで進めるかの見通しが立つ

書面を送った後、応じられなければ次の手続に進むことになります。その段階で弁護士へ引き継ぐべき事案なのか、調停で足りる事案なのか、あるいは金銭に換算して請求したほうが現実的なのか。最初の書面を作る時点でその見通しを持っておくと、遠回りを避けられます。

*業務範囲について

行政書士がお引き受けできるのは、ご本人名義の通知書・回答書の作成支援です。相手方との交渉を代理すること、示談や和解のあっせんを行うことはできません。すでに相手方に弁護士が就いている場合、相手との争いが本格化している場合には、弁護士へのご相談をおすすめしています。その判断についても、ご相談の際にお伝えしています。

まずは、状況をお聞かせください

「これは請求できるのか」「この書き方で送っていいのか」——迷ったまま時間が経つと、物が処分されたり、相手の住所が変わったりして、選択肢が減っていきます。LINEからであれば、スマートフォンで数分あればご相談いただけます。

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内容証明の出し方と、送るタイミング

出し方は2通り

方法 特徴
郵便局の窓口 同じ内容の文書を3通(相手方用・差出人保管用・郵便局保管用)と封筒を用意して持参します。取り扱っている郵便局が限られるため、事前に確認してください。1行の文字数・1枚の行数に規定があります。
電子内容証明(e内容証明) Web上で24時間差し出せます。文字数・行数の制約が窓口とは異なり、物件目録が長くなる返還請求とは相性が良い方式です。事前の利用者登録が必要です。

*必ず「配達証明」を付けてください。これがないと、相手に届いた日付が記録されません。期限を切る書面では、到達日が起算点になるため必須です。なお、料金は改定されることがありますので、最新の金額は日本郵便の公式情報でご確認ください。

送るタイミングの判断

これは意外と重要な論点です。内容証明郵便は強い手段であるぶん、タイミングを誤ると関係を硬化させ、かえって返還が遠のくことがあります。

まだ送らないほうがよい場合:相手と連絡が取れており、「そのうち送る」と言っている段階。この段階で内容証明が届くと、相手は「争う姿勢を見せられた」と受け取り、態度を硬くすることがあります。まずは日時を区切ったメッセージ(「◯月◯日までに着払いで送ってください」)を送り、その記録を残すほうが有効なことが多いです。

送るべき場合:連絡が取れない、既読無視が続いている、返す返すと言って数か月経っている、明確に拒否された。この段階では、通常の連絡手段はすでに機能していません。書面を送ること自体に意味があります。

それでも応じない場合の手段

書面を送っても返還がない場合、次の選択肢に進むことになります。それぞれ性質が異なるので、整理しておきます。

民事調停

簡易裁判所で、調停委員を交えて話し合う手続です。本人申立てが可能で、費用も比較的低く抑えられます。訴訟のように勝ち負けを決めるのではなく、双方が納得できる着地点を探す性質のものです。「返す気はあるが会いたくない」といった相手には、第三者が入ることで話が進むことがあります。

ただし、相手が出頭しなければ成立しません。完全に無視を決め込んでいる相手には向きません。

物そのものの返還を求める訴訟

所有権に基づいて、その物の引渡しを求める訴えです。判決を得て、相手が従わなければ強制執行に進むことも制度上は可能です。ただし、相手がその物を現に持っていることが前提になります。すでに処分されている場合、この方法では回収できません。

金銭に換算して請求する方法

物が壊された、売られた、捨てられたという場合、物そのものは戻りません。この場合は、その価値に相当する金額を損害として請求するという考え方になります。請求額が一定額以下であれば、少額訴訟という簡易な手続を利用できる場合があります。

*なお、請求できる金額は購入時の価格そのままではなく、使用による価値の減少を考慮した額になるのが一般的です。5万円で買ったものが3年使われていれば、その分は差し引かれる、という考え方です。

現実的な費用対効果の話

正直に書きます。品物の価値が数万円程度の場合、訴訟にかかる時間と労力に見合わないことがあります。手続に必要な費用、書類の準備、期日への出頭——これらを合計すると、取り戻せる金額を上回ることも珍しくありません。

だからこそ、通知書の段階で決着させることに価値があります。実務上、返還請求の多くはこの段階で動きます。書面にかける手間は、その後の手続を回避するための投資だと考えていただくのが現実的です。

やってはいけない4つの行動

最後に、絶対に避けていただきたい行動を挙げます。いずれも、被害者だったはずのあなたが加害者側に立たされてしまう危険のあるものです。

1. 相手の住居に無断で立ち入って取り返す
合鍵を持っていても、相手の承諾なく立ち入れば住居侵入が問題になりえます。自分の物を持ち出した場合であっても、窃盗を疑われる可能性があります。「自分の物だから」は理由になりません。

2. 相手の職場や実家に押しかける
相手に精神的な圧力をかける目的での訪問は、状況によっては強要や業務妨害が問題になりえます。連絡が取れないからといって、職場に電話をかけるのも避けてください。

3. SNSで名前を出して圧力をかける
「◯◯さんが荷物を返してくれません」という投稿は、名誉毀損が問題になりうる行為です。事実であっても成立しうる点に注意が必要です。この一件でこちらが賠償を求められる側になった事例があります。

4. 第三者を使って威圧する
共通の友人に頼んで圧力をかける、複数人で押しかけるといった行為は、脅迫や強要が問題になりうるほか、その友人まで巻き込むことになります。

これらの行動は、感情的には理解できるものです。ただ、一度でも実行してしまうと、相手はそれを材料にしてきます。「返さない側」だった相手が、「被害を訴える側」に回るのです。正当な請求権を持っているあなたが不利になる理由はありません。手順を守ってください。

よくある質問

Q. 相手が転居していて、住所が分かりません。

宛先不明で戻ってきた場合、その事実自体は「連絡が取れない状態にある」ことの記録になります。まずは手元の郵便物や通販の配送履歴など、交際中に把握していた情報を確認してください。判明しない場合の進め方は状況により異なりますので、個別にご相談ください。*住所調査そのものを当事務所がお引き受けすることはできません。

Q. ペットを返してほしい場合はどうなりますか。

法律上、動物は物として扱われるため、所有権に基づく引渡しを求めるという枠組み自体は同じです。ただし実務上は、誰が飼育費用を負担していたか、登録や病院の記録がどちらの名義か、現在の飼育環境はどうかといった事情が重視される傾向があり、通常の私物とは別の配慮が必要になります。個別のご相談をおすすめします。

Q. すでに捨てられていた場合、どうなりますか。

物そのものの返還は求められませんが、その価値に相当する金額を損害として請求するという考え方があります。この場合、「その物が確かに存在したこと」と「相手が処分したこと」を示す材料が重要になります。処分を示唆するメッセージが残っていれば、必ず保存しておいてください。

Q. 一緒に買った家電はどう扱われますか。

費用を出し合って購入したものは、共有の状態にあると評価されうるため、一方が単独で全部の返還を求めることは難しくなります。この場合は、どちらかが引き取り、他方に金銭で精算するという解決が現実的です。通知書でも、その提案の形で書くほうが話が進みやすくなります。

Q. 内容証明を送ったら、相手を刺激しませんか。

相手との関係性によります。まだ話し合いの余地がある段階では、いきなり書面を送るより、期限を切ったメッセージから始めるほうが有効なことがあります。一方、暴力や執拗な連絡があった相手の場合は、書面を送ることの安全面への影響を含めて検討が必要です。判断に迷う場合はご相談ください。

Q. 請求できる期間に制限はありますか。

請求の種類によって、時効の考え方が異なります。所有権に基づく返還請求と、損害の賠償を求める請求とでは扱いが違うため、一律には言えません。いずれにしても、時間が経つほど資料が失われ、物も処分される可能性が高まります。早く動くに越したことはありません。

まとめ

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 警察は、単に返還を拒まれているだけの状態では動きにくい。ただし処分の示唆・無断持ち出し・脅迫や付きまといが絡む場合は相談する価値がある。
  • DV・ストーカーが背景にある場合は、荷物より安全の確保が最優先。「#9110」や生活安全課、配偶者暴力相談支援センターへ。
  • 警察が動かなくても、所有権に基づく返還請求という民事のルートが残っている。
  • 書面を出す前に、所有を示す資料の収集/贈与か貸与かの仕分け/住所の確認/物のリスト作成を済ませる。
  • 通知書には、当事者・物の特定・返還方法の提案・期限・応じない場合の対応の5要素を入れる。
  • 返還率を上げるのは、相手が実行しやすい返還方法を具体的に示すこと。着払い発送が最も応じられやすい。
  • 住居への無断立入り、職場への訪問、SNSでの公表は絶対に避ける。立場が逆転します。

荷物が返ってこないという問題は、金額の大小では測れないものです。仕事に必要な物かもしれませんし、思い入れのある物かもしれません。「たいした額じゃないから」と諦める必要はありません。正当な請求権があるなら、手順を踏んで求めることができます。

ただ、時間が経つほど不利になるのは事実です。物は処分され、メッセージは消え、相手は転居します。今日できる最初の一歩は、返してほしい物のリストを作ることです。そこから先で迷われたら、いつでもご相談ください。

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執筆者

行政書士(登録番号:第22080418号)

契約書・通知書などの法的書面作成を専門とする行政書士。内容証明郵便は、年間新規相談約1,000件の実績。交際関係の解消に伴う私物返還、ハラスメント、誹謗中傷、金銭トラブルなど、個人間の紛争予防に関する書面作成支援を数多く手がけている。

*本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案についての法的判断を示すものではありません。記載内容は執筆時点の情報に基づいています。郵便料金・手数料・制度内容は変更される場合がありますので、最新の情報は日本郵便および各官公庁の公式情報をご確認ください。

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